今日はそんな自宅の庭を「レベッカ」のマンダレーに見立てて、著者デュ・モーリアの園芸論をあわせてご披露します。
■自宅の庭先から中庭に続く道■
ゆうべ、またマンダレーに行った夢をみた。
レベッカの最初の名文。作家のデュ・モーリア、映画監督のヒッチコックとなると、私の中では200年以上前のゴシック小説を思い出してしまうのですが、久しぶりに読んだ「レベッカ」もその残り香が漂います。
貴族マキシムの後妻になった若いコンパニオンの「わたし」。マンダレーで開かれた仮装舞踏会。レベッカのヨット。マキシムと「わたし」の変わらぬ愛。
■庭先■
マキシムが「わたし」にマンダレーの話をするところ。
・・・(略)・・・テラスに立てば小さな入り江を洗う潮騒が聞こえてくる。細い茎に金色の頭を乗せた満開のラッパスイセンが、夕刻のそよ風になびく。花は兵隊のようにびっしりと肩を並べて隊列をつくり、いくら摘んでも数が減るようには見えない。
芝生の先の土手には黄色やピンクや藤色のクロッカスが植えられているが、この時期には最盛期は過ぎてしまっていて、色が抜けたマツユキソウ同様、色褪せて花を落としている。プリムラはもっと粗野だが、飾り気のない元気もので、まるで雑草のように隙間という隙間に生えてくる。
■庭先■
ブルーベルはまだ時期ではなく、落ち葉の下に頭を隠しているが花が咲くと、控えめなスミレを圧倒して林のシダさえ多いつくし・・・(略)・・・花瓶に入れるとたちまちぐったりしてしまう。一番いいのは太陽が真上にくる十二時頃、林を散策して眺めることだ。・・・(略)・・・
■小庭■
マンダレーでは野生の草花は室内にもちこませない。屋敷専用の花は塀をめぐらした花壇で栽培している。バラは自然に生えたままの状態より摘んだほうが見映えがする数少ない花のひとつだ。・・・(略)・・・マンダレーでは1年のうちに八ヶ月はバラを飾る。
■庭先■
入り江にくだる小さな谷の小径の左側にはツツジやアザレアがぎっしり植わっていて、とある五月の晩、夕食後に散策してみれば、周りは花々の香りでむせかえるようである。落ちている花びらを拾って指でつぶそうなら、掌のうえにたえがたいほど甘くかぐわしい何千という芳香のエッセンスが立ち上る。
■中庭■
バイカウツギは好きかな。自分の寝室の窓からも匂うのだが、・・・(略)・・・。自分はそれでもかまわない。芳香に酔うなら酩酊するのも悪くないとさえ思う。
レベッカ本文の引用は、新潮文庫の茅野美ど里さん翻訳の「レベッカ」からです。
「ツツジ」は別の翻訳では赤い石楠花(シャクナゲ)になっていたものがあります。躑躅、皐月、石楠花は、菖蒲と杜若、蓮と睡蓮のようにそっくりですよね。なんて私だけ?
■著者 デュ・モーリア■
ダフネ・デュ・モーリアがたたずんでいるのは、レベッカのマンダレーの邸がモデルになったフォーイ近郊のメナビリー邸です。
■ヒッチコックの映画「レベッカ」
デュ・モーリアの作品はレベッカのほかに「鳥」もヒッチコックによって映画化されています。
最後のカーブを曲がると、そこがマンダレーだった。わたしが思い描いていたとおりのマンダレー。昔むかしのあの絵葉書のマンダレーだった。優雅で美しく、気品に満ちた申し分のない屋敷。平坦な草地とビロードのような芝生のくぼ地に建つその姿は、わたしが夢見た姿よりはるかに美しかった。テラスの下はなだらかに花壇へと続き、花壇は海へ連なっている。
追記 ついお花の好きなメンバーさまたちを思い出します。
次の季節に続く~
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「あと四分半、それでもう二度と会えない」とわたしのほうは思いつめているのに。
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