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物の値段:【化粧品 】価格の差はどこにある?

物の値段:【化粧品 】価格の差はどこにある?

高額コスメの価格や、販売手法などいろいろ思うところがあり、
コスメの価格というのは、どんな費用が含まれているのか。

今更ながらというところはありますが、
自分が納得するコスメを選ぶ上で、価格は一番、重要事項だと思うのです。

今一度、自分が使っているコスメの価格の内訳がどんな構成になっているのか、
それに満足できるかどうかを見直してみてもいいのでは?


【元記事】'12/12/23 9:57
以前からいろいろ思うところのあった化粧品のお値段。

「物の値段について」という記事をkorokoroさんが投稿されたら、
  →https://beautist.cosme.net/article/387822

たくさんの方が、物の値段ってよくわからない。
何なんだろう、難しいというコメントが、
たくさん寄せられていました。

私も、化粧品のお値段については、思うところがあって、
コメントさせていただいたのですが、言いたりないので記事にしました(笑)


■化粧品の原価
学生時代の同級生のお母さんが化粧品の開発に携わっていました。
その友人からこんな話を聞いていました。

「仕事をやめたら化粧品なんて馬鹿らしくて買えない。
 化粧品の原価なんて高々知れたもの。
 在職時は、いつも研究室から、容器に分けて持ち帰って使ってた」

という話です。
化粧品にそれほど興味もなかった学生時代。
そんな頃に、こんな話を聞いてしまって、
「本質を見たり!」という感じで、
私の化粧品に対するイメージの原型が作られた気がします。


■モニター試験へのお誘い
知人に化粧品開発の仕事をしている人がいます。
開発中の化粧品のモニターに協力してもらえないか。
と声をかけられました。

「化粧品に興味がないから、知り合いを紹介するけど・・・」と言ってお断りしました。

(商品になる前のモニター試験に参加するということは、
 何が起きるかわからないという危険が、製品を使う以上にあります。
 参加する場合は、そのあたりのこともよく理解して参加しましょう。
 いろんなことに慎重になりすぎてしまいがちな個人的意見ですが、
 お小遣い稼ぎ、アルバイト感覚で協力することは、避けた方がよいと思っています。)


■化粧品の値段って・・・
化粧品の販売にかかわる知人に
「同級生のお母さんが、化粧品の原価なんて、たいしたことないから、
 買えないっていう、研究開発の声、聞いちゃったから、
 化粧品の値段って、ちょっとねぇ・・・」

という話をした時に、
「原価はそうかもしれないけど、
 研究開発の費用や、容器代とか、宣伝費とか
 いろいろあるわけだから、
 原価だけで買えるもんじゃないんですよ・・・・」

と聞いて、確かにそうね・・・
作る立場と使う立場の違いを感じさせられたのでした。



■物の値段の決め方
物の値段というのは、
原価があって、そこにコストと利幅を積み上げていく方法が一般的。

一方、買ってもらえそうな価格を決めてしまう方法もあります。


■化粧品のコスト
化粧品の場合、原価に対して、どんなコストがかかっているでしょうか。
そこに研究費、容器代、人件費、広告などがどんどん上乗せされていきます。

あるメーカーでは、女優を3人も起用しているから、高いんだ。
という利用者の声も聞こえてきます。

「一方宣伝をしない」というこを、コストダウンのメリットに掲げたり、
容器もデザインや材質を落としてコストダウンしているメーカーも。

そして、様々な場面にかかわる人件費。
特に、デパートなどの対面販売されるメーカーは、
美容部員さんの人件費がかなり大きいとも言われます。

このような基本的なコストがいくつか考えられますが、
これらは、メーカー間の大きな差は、それほどないような気がします。

確かに容器がプラスチックとガラス。
デザイン性も高いものにすれば、価格はあがると思いますが、
しかし、0が一つ違うほどの差にはなりにくいと思います。

材料代も、高い希少な材料を、たくさん使えば、当然高くなりますが、
材料費の上乗せ分は、納得できる範囲におさまっているのではないでしょうか。

人件費については、販売員を置くか、おかないかでは、大きな差がありますが、
○○○ブランの人件費は高く、○○○は低いという、
ブランド格差は、そんなには大きくないと思われます。



■付加価値を売れ
よく物を売る方法として紹介されるのが、
「付加価値を売れ」ということです。

1000円のものを10000円でも売れるような付加をつけて、
利用者が納得させれば、物は売れます。

そしたら、どんな付加価値が加えられているかを、
見極めればよいのです。

化粧品において、付加価値とはなんでしょうか?
それは、「ブランドイメージ」です。

私は、これが、化粧品の価格の差で一番大きな部分だと思っています。


ものの値段が「高い」と感じさせられた時、
「付加価値」が加わっていることが多いです。
この付加価値の本質を知れば、値段の理由も見えてくると思います。


■業界の特異性
同じ効能の高級クリームを、
100円ショップで売られているような、プラ容器に入れて、1000円で販売。
デザイン性の高いガラス容器に入れて10000円で販売した場合、
どちらを手にするかというと、10000円の方を買ってしまうという
傾向を持った業界だと思います。

安いと効果がないんじゃないか。
容器も素敵な方が使っていて気分も高揚するし、効く気がする。


こんな、業界特有の体質があり、
「高い方が売れる」「高くないと買わない」
そんな土壌がある世界に感じていました。


■化粧品の効果
そもそも、化粧品の効果なんて、イメージ的なものだと思っています。

100円ショップのクリームと、10000円のクリーム。
シンプルなプラ容器に入れられて、どっちが高いを当てられる人は、
どれくらいいるでしょうか?

芸能人の格付けチェックのような番組がありますが、
ワインや音楽、お料理など、結構、はずしています。
(演出もあると思いますが)
それと同じで、化粧品も、わからないんじゃないかなと思っていました。


また、化粧品の研究でいろいろ研究され、安全性などが検討されていますが、
「効果」という部分で、プラシボの対象試験をして、
データをとっているメーカーは、ほとんどないのではないでしょうか?

「真の意味での」効果を確認できていないものを、
宣伝やトーク、マーケティング用語まで作り上げて、
イメージ作りをしたものに踊らされている世界。

そういうものに、価値を見出してお金を落とせる人たちのアイテム。

私は、以前、化粧品には全く興味がなかったので、
とても、冷ややかな目で見ていました。

こういうものに価値を見出して、楽しめる人たちは、
そういう人で、勝手にやってればいい。
これがいいのよ、あれがよかったわ。と情報交換すればいい。
私には関係ない世界・・・・と思っていました(笑)

せめて、効果を語るなら、業界規定がなくても、
自主的にプラシボをとって、確認する。
そんな気概のあるメーカーってないのかしら?
そういうところがあれば、ちょっとは見直すけど・・・

しかし、このプラシボのデータをとることは、
研究費アップにつながってしまうわけですね。
(実際に、プラシボをとってしまうと、効果がないという結果が出るものが、
 ほとんどなのではないかと思っています)

そのために、化粧品の価格をあげられても・・・
というのが正直なところです。



■大きな差はブランディング
化粧品の価格を決める大きな差は、ブランド力だと思っています。

ただでさえ、高い方が売れるという下地のある業界。

バブル期がそうでしたが、ショーウィンドーに飾った洋服。
全く売れる気配がなかったので、「0」を一つ増やしたら、
翌日売れてしまったという話が、まことしやかにささやかれていた時代です。

「高い」ということに価値がある。
(高い理由は、二の次で)

化粧品という一つのアイテムに1万をかけられるというのが、
一つのハードルのような気がします。
そこを超えると、3万、5万という世界が待っています。
そんなお金をつぎ込むことができる顧客は、
メーカーにとって上顧客です。

そういう顧客をいかにして集めるかが、メーカのブランディング。
このイメージ作り、ブランディングにかけてきた時間=歴史。
時間という歴史は、お金では買えません。
それを補うのが、ブランディングのストーリーです。

目に見えない価値をいかにして高くするか。
そこにはストーリーあり、エピソードあり・・・
そのような、イメージとブランドコンセプトに共感した人が、
ワンアイテム、1万の商品から3万円のものに、
そのあとは、5万、7万という常識的には考えられない化粧品を
手にすることできるのだと思うのです。

それは、メーカーへの信頼の現れだとも言えます。
このブランドなら、この価格に見合う効果をきっと感じさせてくれるだろうという、
期待を持たせてくれる力を持ったのです。

あるいは、内心、期待はそれほどないとわかっているのですが、
この「ブランドが好き」というファンにさせて手にとらせてしまう。
あるいは、習慣化させてしまう。

また、ブランドイメージ=自分のイメージ。
そのブランドを使うことによる自分のイメージ作り。
自分の付加価値(?)アップにも貢献してくれることへの価値。

あるいは、そのブランドを使っているという自分が好き。
使っている自分に酔える。

つまり、ブランドが付加した値段分を、
使い手が、価値として認めて、支払うかどうか。

ブランド側からすれば、価格に対する価値を、
顧客にいかに認めさせられるかがメーカーの手腕なのだと思います。

なんとなく、価値がよくわからないけど、
そのブランドのものを買ってしまうというのは、
その戦略の手中にはまってしまったということではないでしょうか?


ブランドイメージに対する付加価値は、顧客が認めて買う人がいれば、
それが少数であっても、利益が上がるなら、成り立つわけです。

逆に少数の人しか利用しないということも価値になります。
「高い」ということが、価値として成り立ちます。



通常の感覚では手にすることのできない
高額化粧品を手にとらせてしまうブランドの戦略。
顧客獲得方法には、ちょっと興味深いものを感じるのでした。


(あるホテルのエントランスで、「○○○○お客様お手入れ会」という
 高級ブランドのプレートを見かけました。
 高級ブランドになると、ホテルでお手入れ会が開催されるのね・・・
 こういうことが、顧客の満足度を上げ、特別意識にもつながり、
 上顧客を獲得する一つの戦略なのね。と思ったことがあります)



■化粧品の価格差は
容器代、広告費、いろいろ細かいところはありますが、
そんなことは、瑣末なことで、一番、大きなところは、
「ブランド力」だと思っています。


うちは、この値段よ!  文句ある?(笑)


その価格設定でも買う人がいる。
文句を言うどころか、ありがたく思って購入するお客さんを、
抱えることができた。

そうした「ブランド力」が、
化粧品価格の大きな差の本質ではないかと思っています。


化粧品に対して、冷めていて冷ややかな視線を送ってきました。

ワンアイテム、1万円なんて、とんでもない。
そう思っていた私が、

2012年MYベストコスメ(スキンケア編)で、
1万円の化粧水を選びました。
  →https://beautist.cosme.net/article/307936


高い化粧品なんて意味がないと思っていた私を変えさせたのは・・・

また改めます(笑)


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【コメント】
●キトキトさんがコメント'12/12/29 11:17
>EUREKAさま それにしても、唯一と言っていい、メラニン還元アイテムを手放すとは、太っ腹。逆にこうして広まったことでありがたみがなくなったのも事実です。マイケルは、人はどんなに才能があっても、自分いないものへの憧れが尽きないことを表している気がします。我々の美白も上を見たらきりがありません(笑).
 
●EUREKAさんがコメント'12/12/27 23:50
はい、まさにおっしゃる通りと思います。 私、マイケル大好きなんですけど…噂によれば白斑症(遺伝病の一種です)を患っていたようで、皮膚の色が斑になってしまっていたようです。ですから、黒い皮膚の部分にハイドロキノンモノベンジルエーテルを処方されていたようですね。.
 
●キトキトさんがコメント'12/12/27 17:31
>EUREKAさま ハイドロキノンは、マイケルをあそこまで白くしてしまうものなのですね。アスコルビン酸関係の特許は、手放してたのですか・・・プチプラ含め、急に多くの商品に含まれるようになった気がしていたのはそのせいだったのですね。.
 
●EUREKAさんがコメント'12/12/27 17:14
マイケルジャクソンが使った薬品も、ハイドロキノンの近似物質ですしね…。アスコルビン酸グルコシドは資生堂が開発し、特許を持っていました。3-0-エチルアスコルビン酸は、やはり資生堂が開発元から買い受けたらしいのですね。ですが、トラネキサム酸に方向性を見出したため、独占権を放棄しています。.
 
●キトキトさんがコメント'12/12/27 16:47
>EUREKAさま ハイドロキノンは、なぜか、名前から怖いと直感的に感じてしまうのはなぜなのでしょうか?(笑)これが本能? アスコルビン酸の誘導体はいろいろありますが、それぞれに権利関係があるのでしょうか?.
 
●EUREKAさんがコメント'12/12/26 0:08
そうなんですね^^  医薬部外品として認可されている美白成分の中で、還元作用を持つのはビタミンCとハイドロキノンだけなんです。ハイドロキノンは扱いが難しいですから、4%未満と言っても抵抗があります。.
 
●キトキトさんがコメント'12/12/25 18:39
>EUREKAさま 成分の詳細はわかりませんが、美白商品あたりから、うちが始めてというのが、一気に増えた気がしています。作用する場所も新たにどんどん登場し・・ なぜ、美白にビタミンCと思っていたのですが、酸化したメラニンを還元してたんだ!って気づいたあたりから、ぐんと化粧品が身近になってきました。 .
 
●EUREKAさんがコメント'12/12/25 17:21
美白と特許…確かに。アスコルビン酸グルコシドや3-O-エチルアスコルビン酸にまつわる話は興味深いですね。.
 
●キトキトさんがコメント'12/12/25 16:31
>Marilaさま ジェネリックは、費用の回収が出来てというより、成分の特許が切れたらなんですね。そいういう意味では、化粧品も成分の特許が切れたらというのが考えられると思うのですが、そのころには、その成分よりもっといいものが出ていそうな・・・(笑)美白にはこの特許がらみの成分が多い気がします。.
 
●Marilaさんがコメント'12/12/24 13:07
先端への研究がある程度お金がかかる、それを価格に反映する、のはある一定期間は必要なのかなと思いました。たとえばジェネリック医薬品みたいなものかな、と。会社の総力をあげて研究、宣伝し、その費用がある程度回収出来たところで、後発医薬品になる。そういうシステムは化粧品にもあり得るかな、なんて…安直かも(汗.

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【関連】
○物の値段:【化粧品 】価格の差はどこにある?  ←ここ
  →https://beautist.cosme.net/article/389547

○物の値段:【時計】ブランド選び
  →https://beautist.cosme.net/article/389677

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  →https://beautist.cosme.net/article/393018

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